2011年3月11日の東日本大震災で福島原発事故が起こり、放射線の被爆の心配をされる方も多いと思います。また歯科の診断の際に撮るレントゲン写真にも危険があるの?と心配される方がいるのも無理のないことと思われます。歯科で使用するレントゲンの放射線量はごくごく微量です。治療に必要とされる最低量のレントゲン撮影のみで不必要な撮影はしていませんので、安心して下さい。
皆さんは「放射能」と「放射線」の違いは、ご存知でしょうか。放射能とは放射線を出す物質、もしくはその能力のことです。原潜や原発事故などで、放射能漏れという場合、その物質がある限り放射線を出し続けますから深刻です。(放射能物質は放射線を出しながら徐々に崩壊します。種類によって崩壊の時間は違います。ほんの短い時間のものもあれば、数万年かかるものもあります。)歯科医院で使用するエックス線は、電気で一時的に放射線を出す装置ですから、光と同じように照射が終わると、直ちに消滅してしまいます。歯科医院のレントゲン室に「放射能(放射能物質)」があるわけではないので、レントゲン室に入っただけで放射線を浴びることはありません。
まず最初に知って頂きたいのは放射線の量を表す単位についてです。
放射線の量にはミリシーベルト(mSv)と云う単位を用います。
皆さんは、日常生活を送っていながら被爆していることを知っていますか?
宇宙から降り注ぐ宇宙線や地中から放射される放射線などをあわせた自然放射による被曝は、日本では年間1.5mSv程度、世界平均1人当たり年間で2.4 mSvになります。外国では、年間10mSvにもなるところもあります。ですから、日常生活でもわずかですが被曝していることになります。
例えば、飛行機に乗って東京・ニューヨーク間を往復するだけでも宇宙線を浴び、およそ0.2mSvの被曝をしてしまいます。
レントゲンの機種や撮影する部位にもよりますが、歯科医院で撮影する小さなレントゲン写真の放射線量は1枚あたり0.01〜0.02mSv、口全体を撮影する大きなレントゲン写真の放射線量は1枚あたり0.02〜0.03mSvです。
これは、集団検診で撮影する胃のレントゲン写真1枚(約4.1mSv)のおよそ100〜400分の一、自然界から1年間に受ける放射線のおよそ40〜100分の一程度です。このことから、歯科医院で撮影するレントゲン写真の安全性は高いといえます。
※最近増えてきているデジタルレントゲンの放射線量は通常の5分の1〜10分の1になるのでさらに安心です。
| 方法・部位など | 放射線量 |
|---|---|
| 歯科(口内法エックス線撮影、小さなレントゲン写真) | 0.01〜0.02 |
| 歯科(パノラマエックス線撮影法、大きなレントゲン写真) | 0.02〜0.03 |
| CT撮影(頭部) | 0.49 |
| CT撮影(胸部) | 6.8 |
| 集団検診での胃のレントゲン写真 | 4.1 |
| 胃のレントゲン写真 | 2.7 |
| 東京・ニューヨーク間を飛行機で往復したときの放射線量 | 0.2 |
| 日本人が1年間に自然界から受ける放射線量 | 1.1 |
| ガラパリ(ブラジル)の人が1年間に自然界から受ける放射線量 | 10 |
※独立行政法人・放射線医学総合研究所の測定による。歯科はメーカーの測定による。
以上のように、歯科のレントゲンによって、障害が起きるのではないかと心配する必要はないでしょう。それよりも治療のための必要な情報が得られることのメリットがはるかに大きいのです。